故人が所有していた不動産は、相続人に相続されます。
自宅、農地、収益マンション、収益ビルなど、その用途によって不動産相続が複雑になります。
自宅の不動産相続
相続人が複数いる場合、現金の遺産分割は簡単ですが、不動産はなかなか分けることができません。
代表的な不動産相続の方法としては、
- 法定相続分どおりの比率で共有する方法。
- 代償分割 相続人の一人が代表して不動産名義を相続する代わりに、ほかの相続人へは持分に応じた評価額相当の代価(おもに現金)を交付する方法。
- 換価分割 不動産を売却してしまい、その売却代金を相続人たちで分割する方法。
自宅でも農地でも、不動産はすべて、遺言書か遺産分割協議書がなければ、法定相続分どおりに相続され、相続人全員の共有になります。
不動産を共有にしてしまうと、あとあと面倒になりやすいので、なるべくなら相続人の誰かが代表して名義を取得するほうが良いでしょう。
不動産の代償分割を利用した節税法
父が亡くなり、母と子が相続人のときに、父名義の自宅を母が不動産相続して、その代償金を子に支払います。
通常、母から子へ多額の金銭が付与されると、贈与税の対象になりますが、不動産相続の代償として支払ったということであれば、贈与にはあたらないのです。
相続人に未成年者がいるときはどうする?
父が亡くなり、母と子が相続人のときに、子がまだ未成年のときは、手続きが複雑になります。
自宅の場合であれば、未成年の子に持たすよりも、母が名義を持つほうが多いですよね。
そうすると、手続き上は、母と未成年の子との間で遺産分割協議をおこない、自宅の名義は母が持つ、ということを話し合ったという趣旨の書類(遺産分割協議書)が必要になるのですが、未成年の子は自分で協議をおこなう判断能力が低いとされますから、代理人が未成年の子に代わって協議をおこなうことになります。
通常の法律行為(契約の締結など)であれば、親権者である父母が、子の法定代理人として、子の代わりに行為をおこないます。
しかし、遺産分割協議においては、母と子が話し合うことになるので、母が一人二役となってしまいます。
そこで実務上は、子のために、母以外(相続人以外)の第三者を、子の代理人として用意します。
特別代理人といいます。
子の住所地の家庭裁判所へ、相続の事情と、特別代理人の候補者を申し立て、その候補者を特別代理人として認めてもらいます。(参考 裁判所ホームページ)
特別代理人が選任されれば、その方と母とで遺産分割協議をおこなうことになります。
特別代理人には、法定相続人でない親族の方や、行政書士などの専門家が就任することができます。
相続人の中に未成年の子がいる場合は、自宅や収益マンションなどの不動産に限らず、金融機関の手続きにおいても、特別代理人が必要になるケースが多いので、注意してください。
収益不動産の相続
収益不動産を相続するということは、家主さんの立場を継承することになりますので、家賃収入を得ることができますが、その反面、修繕義務や税金負担など、家主さんの義務も継承することになります。
収益不動産の建築費や購入費のローンが残っていれば、そのローンも継承することになります。
家賃収入は大きな魅力ですが、不動産投資のオーナーになるということなので、リスクもあるということをしっかりと念頭において、不動産相続しなくてはなりません。
こちらも、できれば共有は避けたほうがよいです。
故人の死亡から遺産分割協議が整うまでの家賃収入のゆくえ
遺産分割協議で、相続人の一人が相続することに決まっても、故人の死亡から遺産分割協議確定までのあいだの家賃収入は、全相続人の共有となり、法定相続分のとおりに分配されます。
(最高裁判例平成17.9.8)
不動産を共有にするデメリット
不動産を共有している状態で、共有者の誰かに不幸があって、その子どもたちがさらに相続するようなことになると、共有関係がますます複雑になります。
老朽して修繕するにも、取り壊して建て替えるにも、売却するにしても、共有者全員 (共有者が亡くなっているときはその相続人も全員)の承諾が必要になります。
これは思っている以上にトラブルを生みます。
兄弟姉妹で共有しているときに、共有者の一人が死亡すると、その共有者の子が代わって共有者の地位になりますし、共有者の子が先に亡くなっていてさらにその子がいるときは、亡くなった共有者から見れば孫にあたるような子が、共有者の地位になるのです。
そのような状態でいざ売却や、共有物分割をしようとすると、その全員の承諾が必要になり、共有者が未成年であれば特別代理人の選任が必要なときもあります。
近々売却するし、そうすぐに兄弟姉妹が死ぬこともないだろう、と思っていても、売却がなかなか進まなかったり、突然の不幸というものは予期せずやってくるものです。 また、いったん成立した共有関係を解消しようとしても、通常、いくらかの現金が必要になりますので、なかなか難しく、いつまでも共有のままになってしまいます。
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手続き完了後、収集した戸籍謄本はすべて相続人様にお渡しします。新しい登記済みの権利証は、専用のファイルにまとめて、保管しやすいようにしてお渡しします。相続人様は、印鑑証明書のみ取得していただければOKです。
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