もっとも身近で、まず行なうべき手続といえるのが、銀行口座の手続きかと思われます。
死亡すると銀行口座は凍結されます
銀行が、名義人の死亡を知ったら、その口座は直ちに凍結され、たとえ配偶者や子ども、同居の親族であっても、通帳とハンコ、キャッシュカードと暗証番号がわかっていても、お金はおろせなくなります。
ご遺族の手元に現金が無く、故人名義の銀行口座で生活に必要なお金のすべてを管理している場合などは大問題です。
しかし、どんなに苦しい心境をうったえても、大声を出しても、涙を流しても、銀行は絶対に出金に応じてくれないのです。
なぜなら、銀行預金は相続財産とされますので、相続人の誰かが勝手に預金をおろして使い込んでしまったら、銀行の責任問題にもなりかねないからです。
途方もなく面倒な、銀行口座の相続手続き
主な必要書類
- 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 銀行所定の相続専用書類
これらをすべて用意して、銀行窓口へ行かなければなりません。
「大変だ面倒だっていうけれども、戸籍と印鑑証明書くらい、役所ですぐにとれるでしょ?」
銀行窓口で相続手続きの説明を聞いたご遺族の、実に多くの方が、始めはそう判断して手続きを始めるのですが、
一度できちんと手続きできる方は、ほぼいらっしゃいません。
故人の出生から死亡までの戸籍謄本とは??
赤ん坊は出生届が出されると、原則として、その両親の戸籍に入ります。これが出生の時の戸籍です。
その後は本籍地を移転したり、結婚したり、離婚したりするたびに、新しい戸籍が作成され、新戸籍に移籍することになります。
人は同じ時期に2つ以上の戸籍に入っていることはありません。古い戸籍から抜けて、新しい戸籍に入ります。
戸籍をよく読むと、何年何月何日に本戸籍に入籍、何年何月何日に本戸籍から除籍、などと記載されていて、1日たりとも重複することはありませんので、この日付けをつなげていきます。
出生の戸籍から、途中、空白の期間無く、最後の何年何月何日死亡、と記載のある戸籍までを揃え切らなくてはならないのです。
戸籍は本籍地の市区町村が管理しているため、そこでしか請求することができません。遠方の場合は郵送で請求します。ひとつの市区町村から本籍地を動かしていない場合は、一度にすべてを請求することができますが、同じ都道府県内でも市区町村を転籍していると、一度にすべてを請求することができませんので、再度請求をやりなおします。
また、ご高齢の方がお亡くなりになられた場合ですと、昭和初期、大正時代と戸籍をさかのぼることもめずらしくありません。
古い戸籍は旧かな遣いで記載されていて、読むだけでも一苦労です。これが出生の戸籍だ!とおもっても、実はそれより古い戸籍が存在しているケースも多いです。
銀行の相続担当者は戸籍を読むプロですから、こちらに不備があるとすぐに見抜かれてしまいます。
そうなると当然に手続きはストップします。
改正原戸籍って??
これをさらにややこしくしているのが、戸籍法改正による改正原戸籍です。
戦前は各家に戸主がおり、その妻、子どもはもちろん、両親、兄弟、兄弟の妻、兄弟の子、なども、分家しない限りは、全員が戸主の戸籍に記載されていました。
それが夫婦とその子ごとに戸籍を作り直そう、となったのが昭和の改正原戸籍です。
役所の都合で削除された戸籍、ということになりますが、これも請求しなくてはなりません。
そして最近は戸籍がコンピュータ化されることになり、また戸籍が作り直されました。平成の原戸籍です。
・・・気が遠くなりませんか?(^^;)
さらにさらに
市町村の合併でかつての本籍地の住所が今は存在しないこともあります。
そうなると、当時の本籍地の戸籍を、今はどこの市町村が管理しているのかを調べることから始めなくてはなりません。境界の複雑な地域になると、同じ地域でも地番ごとに現在管理している市町村が違う、ということもあります。
書類が揃ったら
相続人全員の名前がわかる戸籍謄本と、相続人全員の実印を押した銀行所定の書類に印鑑証明書を添えて、窓口に提出します。詳しい手続きは、銀行によって違います。
故人の口座は解約して全額払い戻して相続人で分けるか、口座名義を相続人の誰かに変更して、引き続き使用します。
なお、判例では、金銭債権は分割債権であり、相続開始と共に法律上当然に分割され、各相続人はその相続分に応じる権利を承継する、となっています。
つまり、遺産分割協議が成立する前でも、自分の法定相続分だけは相続する権利があって、銀行からおろすことができることになります。
とはいえ、銀行はもめごとに巻き込まれるのがきらいですので、通常は応じてくれません。なるべく穏便にいくのがいいかもしれません。
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