遺産相続が始まったとき、多くの人がまず考えるのが、相続税はかかるのか?ということです。

何億円も遺産があれば、がんばって申告しますが、1億円前後など、相続税がかかるかどうか微妙なとき、黙ってればわからないかも?と考えてしまうものですね。

しかし相続税の申告をしなかったときでも、税務調査は入ります。

 

なぜ税務署は相続があったことを知っているのでしょうか?

実は税務署にはいくつかの情報源があるのです。

これは、まず銀行。預貯金が1,000万円を超える口座をお持ちの方が亡くなったときは、銀行から税務署に報告されます。

次に不動産。固定資産評価額が5,000万円を超える不動産をお持ちの方が亡くなったときは、市区町村から税務署に報告されます。

故人の確定申告。所得が2,000万円を越える方は、「財産及び債務の明細書」を確定申告書に添付して提出しなければならないことになっています。(所得税法第232条)

故人が生前、2,000万円を越える所得をお持ちで確定申告をされていた場合、この「財産及び債務の明細書」がきちんと税務署で保管され管理されているのです。

うかつに相続税を申告せずに黙っていると、ある日突然、税務調査官がやってくるかもしれません。もし悪質と判断されると、追徴課税のペナルティもあります。

相続税がかからないことがあきらかな場合は別として、微妙なラインのときはきちんと申告するのがよいでしょう。

 

ちなみに、税務署の事務運営指針では、「相続人間に争いがある等の理由により、相続財産の全容を知り得なかったこと又は遺産分割協議が行えなかったことは、正当な理由に当たらない。」とされています。

これによると、故人の死後10ヶ月が経って遺産分割がまとまっていないから、というのは申告を遅れさせる正当な理由にはならないのです。

 

なお、相続税を申告しても、税務調査は入ります。そのうち95%以上が、何らかの申告漏れを指摘されるそうです。

これは、故意的に遺産隠しをおこなったのではなく、ほとんどがうっかりミスや誰も知らなかった遺産があったりしたケースです。

つまり、それだけ相続財産の確定作業は難しいということを物語っています。