平成21年3月1日より、遺留分に関する民法の特例が施行されました。(遺留分についてはこちらご覧ください

長男に会社を継がせるために、親が持っている会社の株式を長男に生前贈与します。その後に会社が発展して株式の評価が上がり、親が亡くなって相続が発生すると、長男の持つ株式は、贈与のときの価格ではなく、遺産分割のときの価格で評価されて、遺留分請求の対象になってしまうという問題がありました。

生前贈与のときの株式の評価が1,000万円でも、相続のときに1億円になっていたら、長男は他の相続人にその値上がり分を分配しないとだめなのです。

なんともバカな話ですが、この場合、民法では生前贈与した株式は長男の特別受益とみなされるので、他の相続人には相続財産として相続権があるのです。他の相続人が現預金などを相続しても遺留分にたりないときは、長男が相続しすぎだとして、遺留分減殺請求ができ、長男は株券か現金かの支払いの義務が生じます。

これでは事業承継がスムーズにいきません。親の死後、長男に負担させないために、業績が伸びるのを抑えなくてはならないとは、本末転倒です。

そこで新法では、親の生前に相続人全員で話し合うことで、この遺留分請求をさせない制度を認めました。

生前贈与した株式を相続財産に含めないとする合意(除外合意)、または生前贈与時の時価を相続財産の価格として確定させ、以後値上がりがあっても算入しないとする合意(固定合意)を特例として認めるというものです。今年の3月から利用が始まっています。

>>それでは相続人全員の合意が取れないときはどうする?