遺産分割は、相続人全員で話し合い、誰が何をどのように相続するのかを協議していきます。
民法の法定相続分のとおりに分割することもできますが、全員が同意をすれば、どのように分割をしてもかまいません。
また、遺言書がある場合でも、相続人全員の合意があれば、遺言書とはちがう分割も可能です。
現金・預金の分割方法
銀行、ゆうちょなどの口座は、名義人が死亡するとただちに凍結され、所定の手続を踏まない限りは出金ができなくなります。入金も引き落としもできなくなりますので、早急に手続をおこなってください。
預金の凍結がされる前に、急いで預金を引き出すと・・・
他に相続人がいない、または相続人同士でトラブルになることは絶対にない、という状況でしたら、預金の凍結がされる前に、急いで預金を引き出すというのもひとつの方法かもしれません。
しかし、自分以外に相続人がいて、事前の相談無く、ご自身の判断で故人の預金を引き出してしまうと、トラブルになる可能性が非常に高いです。
親族間のことですから、違法行為とまでは言いませんが、あきらかな不正行為とみなされます。
相続財産は、故人の死亡と同時に相続人全員の共有財産となります。
それを勝手に引き出すということは、いかなる言い訳も通用しません。
ましてや私的に流用などすると、民法上の不当利得(正当な権利がないにも関わらず、金銭的な利得を得ること)となり、他の共同相続人からの返還請求に応じる義務が生じてしまいます。
不動産の分割方法
- 代償分割
誰かが不動産名義を相続して、他の相続人には代わりに金銭などを支払います。 - 換価分割
不動産を売却して、その売却代金を分割します。 - 共有登記
一つの不動産を、2分の1は誰それ、3分の1は誰それ、といった具合に共有して相続します。
|自宅の相続|
ご自宅の場合は、代償分割が主流かとおもわれます。実際にその家に住む人が名義を相続して、その代わりにいくらかの金銭を他の相続人に支払います。
売却して換価分割するときは、相続人全員の共有登記をして、全員で売却手続をおこなうと、あとあとのトラブルを防ぐことになります。
|長男に相続権がある?|
戦前の民法は家長制度でした。家は長男が継ぐもの、次男坊や女性は家督を相続しない、というものです。
戦後、法律が変わりましたが、それでも日本人の心情として、家は長男が継ぐ、という考えは根強く残っています。
実子に男がいないからと、婿養子をもらってお家を存続させるということも、一般的におこなわれています。
ただし、現在は慣習・道徳的にそれらがおこなわれているだけであって、法律的に正しい行為である、ということではありません。
法律上、長男以外の兄弟姉妹にも、親が築いたり受け継いだりしてきた財産を相続する権利が等しく認められています。
家を継ぐものが代表して自宅を相続したら、兄弟姉妹にはいくばくかの代償金は支払う義務があります。
ただし、ほかの相続人が代償金を放棄すれば支払い義務はなくなります。この点を誤解すると相続トラブルとなりますので、くれぐれも注意してください。
証券(国債、株、投資信託など)の分割方法
- 時価で換金して分割
- 証券のまま、名義を変更して分割
今は証券の時価がさがっていますから、元本割れしているケースも珍しくありません。
換金せずに今後の景気回復を見越して、証券のまま保有し続けるというのも可能です。
ただし、今以上に目減りしてしまうリスクもありますので、自己判断で慎重に決定してください。
証券会社、銀行などに故人の口座があるのが通常です。
証券のまま相続するときは、相続人名義の証券口座を開設します。もちろん、すでにお持ちの口座を利用してもかまいません。
全体のバランスが大切
遺産の全体を把握したら、法定相続分に基づいて分割していくのが基本です。
すべてをきっちり均等に分割しなくても、自宅は長男、預金は二男、国債は長女に、、、といった分割でもかまいません。
ポイントは全員が納得することですので、自我を主張するばかりでなく、引っ込めるところは引っ込めて、ここだけは主張させて欲しい、という気持ちで遺産分割協議に臨まれるのが理想的といえます。
|特別受益の持ち戻し、生前贈与、遺留分|
相続人の中に、生前に多額の贈与を受けていたり、遺言で多額の相続権を得たりした人がいるときは、他の相続人との相続分のバランスを欠くことになりますので、すでにもらった分、これからもらう予定の分も相続財産全体に組み込んで、分割をおこないます。(特別受益の持ち戻し)
また、遺留分や寄与分などの問題もありますが、これらを厳密に判断することは実質不可能であり、調停、審判と進んでも、納得のいく形にはなりません。
ご自身のお気持ちとして、考えに考えた結果、とことん争ってでも権利を主張するんだ、という強い決意に至った場合はともかくとして、
そこまでの強い決意のないままに、いたずらに権利を主張する行為は、遺産分割を無為に長期化させる原因ともなります。
ある程度の柔軟なお気持ちを持って、遺産分割協議に臨んで頂きたいというのが、私個人の私見です。
それでも円滑な協議が進まないときは、当方で徹底的にサポートいたしますので、ご相談ください。きっと力になれることとおもいます。
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